加湿器は空気に水分を加えることで、のどや眼を潤しウィルスなどから守ってくれます。
しかし、使い方によってはカビや雑菌をまき散らし、健康被害につながることがあります。
そこで今回は、加湿器を正しく使うために、加湿器のタイプ別の特徴と注意点を紹介します。
加湿器の種類
- 超音波式加湿器
- 蒸気式(スチーム式)加湿器
- 気化式加湿器
- ハイブリッド式加湿器(加熱気化式)
- ハイブリッド式加湿器(加熱超音波)
選ぶときのポイント
- 清潔な加湿ができるか(カビや雑菌をまき散らさないか)
- 本体の安全性(高温によるやけどの危険性など)
- 加湿能力
- 経済性(電気代)
- メンテナンス性(清掃や防カビ対策)
- 価格や大きさ
などがあります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。
加湿器の種類とその特徴:メリット・デメリット
超音波式加湿器の特徴
タンクの水を超音波発生装置で振動させて、霧状にして放出します。
おしゃれでお手頃価格のものが多い
超音波式は、構造が簡単で小型化できることから比較的安い価格帯で買うことできます。
デザインもおしゃれなものが多いため、選ぶ楽しみがあります。
超音波式は構造上タンク内の雑菌も一緒に撒き散らします。そのため、こまめにメンテナンスすること、タンク内に除菌剤を使うことが推奨されています。
おすすめポイント
- 蒸気式(スチーム)式と違って水を沸騰させないので、電気代が安い!
- 作動音が静か
- スイッチをいれてからすぐに加湿がはじまる
- 小型でおしゃれなものが多い
- 蒸気が熱くならない
蒸気式(スチーム)と違って水を沸騰させないので、電気代が安いです。また、超音波発生器の振動は微細であるため、静音性が高いです。
すぐに加湿がはじまり、短時間で部屋全体に広がります。機構が単純なため小型にしやすく、おしゃれなデザインが多いのも特徴です。
蒸気は熱くならないため、小さな子供やペットがいる家庭でも安心して使えます。
注意ポイント
- タンク内の雑菌やカビがそのまま放出される。
- 水粒子が大きいため家具や床、寝具がベトベトになりやすい。
超音波で作られる水粒子(3~5μm)は、雑菌(0.1~0.2μm)より大きいため、タンク内の雑菌が水粒子に混じって部屋中に拡散します。
過去に飛散した雑菌・カビを吸い込んだことによる死亡事例もおきています。
レジオネラ感染症による死亡事故
1996年1月東京(病院内で使用)、2007年9月新潟(家庭内使用)、2018年1月大分県(高齢者施設で使用)
【厚生労働省】
このような事故を起こさないためには、こまめな掃除が必要です。また、タンク内には専用の除菌剤の使用が推奨されています。
また、水の粒子が大きいため部屋の家具や床が水滴でべとつきやすいです。寝具もしっとり濡れたようになるため注意が必要です。
超音波式加湿器のまとめ
おしゃれで安く買えるのが魅力。ただし、こまめに除菌・清掃しないと部屋中が雑菌だらけになります。
お手入れが簡単、除菌剤が併用できる機種がおすすめ。
超音波加湿器のおすすめ3機種を紹介
蒸気式(スチーム式)加湿器
蒸気式(スチーム式)加湿器は、ヒーターで水を沸騰させて蒸気を発生させます。
とにかく清潔に加湿したい人におすすめ!
ヒーターによってタンク内の水は沸騰し、雑菌は死滅するため清潔な蒸気で加湿ができます。
ヒーターによる加熱のため電気代がかかります。また、沸騰の音やスチームが吹き出す音がします。
蒸気やタンク内は高温になるため注意が必要です。
超音波式より大型になり、価格帯も高め
超音波式に比べると大型のものが大きく、ヒーターの分価格も高めです。
おすすめポイント
- 雑菌やカビのない清潔な加湿ができる
- タンク内も除菌不要
沸騰によって、雑菌やカビは死滅し清潔な加湿ができます。
高齢者や小さなお子さん、呼吸器疾患がある方がいる家庭でも安心して使えます。
蒸気に含まれる水の粒子は約6μmです。雑菌(0.1~0.2μm)よりも大きいですが、加熱で雑菌は死滅するため、清潔に加湿することができます。
沸騰によってタンク内は高温になるため、除菌は必要ありません。
注意ポイント
- 沸騰のため電気代が高くなる
- 本体や蒸気が高温になる
- 沸騰の音、蒸気が噴き出す音が大きい
- 本体が大きくなり、価格も高い
- タンク内のカルキの清掃が必要
蒸気式(スチーム式)加湿器は、加熱のために電気代が高くなります。
電気代の目安
- 超音波式:25W程度(1時間あたり0.5円程度)
- スチーム式:250W程度(1時間あたり5円程度)
- 気化式:5W程度(1時間あたり0.1円)
- 気化式ハイブリッド:150W程度(1時間あたり4円程度 ※0.1円)
- 超音波式ハイブリッド:60W程度(1時間あたり1.2円程度 ※0.5円)
※ハイブリッド式は加熱をしないエコモードでは大幅に消費電力が減ります。
また、タンク内や蒸気が高温になってしまうため、子供やペットがいる家庭では置き場所に注意が必要です。
また、沸騰時の「ボコボコ」音やスチームの噴き出す音がするので、音が気になる方は注意が必要です。
また、どうしても大きくなってしまうので、デザイン的には期待できません。
蒸気式(スチーム式)加湿器のまとめ
蒸気式(スチーム式)加湿器は、加熱によって清潔な加湿ができますが、電気代がかなりかかります。
また、音も大きいので節電機能、静音機能のある機種がおすすめです。
蒸気式(スチーム式)加湿器のおすすめ3機種を紹介
気化式加湿器
気化式加湿器は、フィルターに水を含ませ、風を当てて気化した水分を放出する加湿器です。濡らしたタオルに扇風機で風を当てているようなイメージです。
熱くならず静かで衛生的に使える加湿器がほしい人におすすめ
水を沸騰させたり、超音波で振動させないのでとても静かです。気化した水分だけを放出するので、カビや雑菌が放出されず衛生的に加湿できます。
気化した水分は非常に小さいため、家具や寝具がべとつくことはありません。
おすすめポイント
- 気化した水分だけを放出するのでカビや雑菌の心配なし
- 気化した水分は細かい霧なので、家具や寝具がべとつかない
- 音が静かで電気代が安い
気化式はタンクの水をフィルターに吸わせ、それに風を当てて気化した気体を放出します。気体に含まれる水の粒子は細かいためカビや雑菌の放出はありません。
気化した時の水粒子は約0.0005μmです。雑菌は0.1~0.2μmであるため、水粒子に混ざって一緒に拡散することできません。
また、水分は細かい粒子であるため家具や床、寝具などが湿ることはありません(寝室用に向いています)。
水を沸騰させないので静音性が高く、電気代も安く済みます。また、水道水でも使用できるので経済的です。
注意ポイント
- 加湿性能が高くない
- タンクやフィルターは定期的な清掃が必要
気化式は、風を当てて「気化」した水分を放出しています。そのため、ある程度の湿度になると気化しにくくなります。部屋の隅々まで加湿するにはかなりの時間がかかるため、広い部屋の加湿には向いていません。
気化式加湿器のまとめ
気化式加湿器は、気化した水分を利用するため雑菌飛散の心配がありません。また、消費電力が少なく、音も静かです。しかし、気化を利用しているため加湿能力は高くありません。また、フィルターやタンクの清掃も必須です。
定期的なメンテナンスがしやすい機種がおすすめです。
気化式加湿器のおすすめ3機種を紹介
ハイブリッド式加湿器(加熱気化式)
加熱気化式のハイブリッド加湿器は、加熱によって気化式の加湿能力を向上させた加湿器です。
加湿能力が高く、衛生的に使える加湿器が欲しい人へおすすめ
気化式は、もともとカビや雑菌が放出されない性質をもっています。加熱気化式では、加熱した温風を利用することで、加湿能力を大幅に向上させています。
おすすめポイント
- 温風を使うことで、加湿能力が大幅に向上
- 加熱のON/OFFをコントロールすることで節電ができる
- フィルターが加熱されることで、雑菌が繁殖しにくい
加熱気化式は、加熱した温風をフィルターに当てることで、効率よく「気化」させ加湿能力を向上させています。
加湿の強さによって、温風と冷風を使い分けて節電が可能です。
フィルターを温風で乾燥させることで、フィルター自体の雑菌の繁殖を抑えることができます。
もともと気化式は、水粒子が小さいため雑菌やカビが拡散することはありませんが、温風によってさらに衛生的に使うことができます。
注意ポイント
- (非加熱式に比べると)電気代がかかる
- ヒーターの分、本体が大きくなり価格も高め
- (非加熱式と同じように)フィルターとタンクの定期的な掃除が必要
スチーム式ほどではありませんが、非加熱の気化式と比べると電気代が高くなります。また、ヒーターの分、本体の価格も高めになります。
加熱気化式ハイブリッド加湿器のまとめ
加熱気化式ハイブリッド加湿器は、清潔な気化式に温風を組み合わせることで加湿能力が向上しています。
加湿器の中では一番おすすめの方式です。タンクやフィルターのメンテナンスがしやすい機種がおすすめです。
加熱気化式ハイブリット加湿器のおすすめ3機種を紹介
ハイブリッド式加湿器(加熱超音波式)
加熱超音波式ハイブリッド加湿器は、ヒーターで作った温水を超音波で放出する加湿器です。
超音波式で加湿能力が高い加湿器がほしい人におすすめ
温水を使うことで、効率よく加湿することができます。(温度が高い方が粒子になりやすい)
おすすめポイント
- 非加熱式より加湿能力が高い
- 機種によっては非加熱式より衛生的
タンク内で温めた水を超音波で飛ばすことで、(非加熱タイプより)効率的に加湿ができます。
タンク内の水を高温まで加熱する機種では、清潔なミストで加湿できる。
注意ポイント
- 機種によっては温水の温度が低く、除菌効果がない
- 高温まで加熱するタイプでも加湿の初めは雑菌飛散の危険がある
- 非加熱式と同等のタンクの清掃が必要
- 非加熱式より本体や電気代が高くなる
加熱超音波式は、加熱と超音波を組み合わせた方式ですが、製品によっては100度近くまで加熱するものと、常温より少し高い程度までしか加熱しないものがあります。
あまり加熱しない機種では、非加熱式と同じく、タンク内のカビや雑菌が飛散しやすいため注意が必要です。
また、100度近くまで加熱するタイプでも、加湿をはじめてすぐは十分に加熱されていないタンクの水がそのまま放出されるため、雑菌が飛散する可能性があります。
非加熱式の超音波方式と同じようにこまめなメンテナンスを怠ると、健康被害が出る可能性もあります。
加熱超音波式加湿器のまとめ
加熱超音波式は加熱によって加湿能力は向上していますが、除菌効果はあまり期待できません。
定期的なメンテナンスがしやすい機種がおすすめです。
加熱超音波式ハイブリッド加湿器のおすすめ3機種を紹介
加湿方式による特徴の比較
加湿の清潔さ(安全性)
加湿器からでるミスト(蒸気)が清潔なのは、蒸気スチーム式と気化式(非加熱・加熱)です。蒸気スチーム式は高温による殺菌、気化式は「気化した水分」を利用しているため雑菌は飛散しません。
超音波式はこまめに掃除をしないと、雑菌が飛散し健康被害につながります。次亜塩素酸などの除菌剤を併用すれば安心ですが、手間も費用も掛かります。
ミスト(蒸気)や本体の温度について
超音波式、気化式(非加熱)は、本体もミスト(蒸気)も熱くなることはありません。小さなお子さん、ペットがいても安心です。
一方、蒸気式はタンクを沸騰させるので内部には高温の温水があります。また、噴き出すミスト(蒸気)も高温になります。子供やペットがいる場合は注意が必要です。
加熱気化式は温風を使うため多少熱くなります。加熱超音波式は、機種によって100度近くまで加熱するタイプもあるため、蒸気式と同じように高温に注意が必要です。
加湿能力・初動のスピードについて
蒸気式は、タンクの水が沸騰するまでミスト(蒸気)はでないので、加湿が始まるまで時間がかかります。
その他の方式は、比較的は早く加湿がはじまります。(超音波式が最も早いです)
電気代・コストについて
最近は電気代が値上がりしており、加湿器を選ぶときも消費電力を気にしている人も多いのではないでしょうか?
目安としてはこのくらいになります(機種によって異なります)
- 超音波式:25W程度(1時間あたり0.5円程度)
- スチーム式:250W程度(1時間あたり5円程度)
- 気化式:5W程度(1時間あたり0.1円)
- 気化式ハイブリッド:150W程度(1時間あたり4円~0.1円※)
- 超音波式ハイブリッド:60W程度(1時間あたり1.2円~0.5円※)
例えば、スチーム式を1日12時間(60円)動かすと、1カ月で1800円、冬の5カ月で9000円となります。
気化式なら、1カ月36円で5カ月で180円、超音波式は1カ月180円、5カ月で900円となります。
※ハイブリッド式は、必要な時だけ加熱をONにすることで、かなりの節電が可能です。
加湿器の種類によって電気代は最大50倍も違います。本体の値段ばかりにとらわれず、電気代も計算にいれましょう。
メンテナンス性について
超音波式に関しては、タンクの頻繁な掃除が必須です。タンクや水槽が洗いやすいものを選んだり、次亜塩素酸などが使えるものを選びましょう。
気化式は、雑菌の飛散はないですが、タンク、水槽、フィルターの定期的な清掃が必要です。こちらも、分解しやすく洗いやすいもの、除菌剤を使えるものがおすすめです。
蒸気式は、雑菌の繁殖は心配ありませんが、沸騰後にタンク内にカルキが残りこびりつきます。定期的な清掃やクエン酸を使った掃除が必要になります。
まとめ:選ぶときのポイント
現在主流となっている5つのタイプの加湿器を紹介しました。
選ぶときのポイントは次の通りです。
お手入れをこまめにする自信がある
おしゃれで安く買える超音波式がおすすめです。
とにかく衛生的につかいたい
蒸気式、気化式、ハイブリッド式(加熱気化式)ならカビや雑菌が飛散することはありません。
電気代を安くしたい
超音波式、気化式がおすすめです。
効率よく衛生的な加湿をして、電気代も安く済ませたい
ハイブリッド式(加熱気化式)なら、高い加湿性能が期待できます。気化式なので衛生的に加湿が可能です。節電モードを併用すれば、電気代もかなり抑えることができます。