病院で受けるMRI検査は、検査中とてもうるさいです。でもそれには、こんな理由があるんです。
MRIはどんな検査?
「MRI」の正式名は、Magnetic Resonance Imaging(マグネティック レゾナンス イメージング)です。
日本語にすると磁気共鳴画像法です。「MR」と省略して呼ぶこともあります。
実際、MRI検査では「核」はもちろんのこと「放射線」も使用しません。強力な磁力と電波だけを使います。
装置は電磁石そのもの
検査室に入ると巨大なトンネルのついた機械があります。これがMRI装置の本体です。巨大で強力な「電磁石」でできています。
見ることはできませんが、トンネルの周りには、銅線がぐるぐると巻かれています。そして、そこに電流を流すことでトンネル内部に磁界を作りだしています。
まさに理科の実験でやったことのある「電磁石」そのものです。
発生している磁力は非常に強力で、0.5~3T(テスラ)という磁場強度をもっています。
MRIがうるさい理由
音の原因の1つ目は冷却ポンプの音
病院で一番多く使われている超伝導型のMRIは、周りの銅線を液体ヘリウムでー176℃まで冷却しています。そうすることによって、銅線の電気抵抗がゼロになり、一度流した電流が永久的に流れ続けます。また、発熱も抑えられ安定した磁力が得られます。
MRI検査室に入ると「シュコ」「シュコ」・・・と音がしますが、それは液体ヘリウムを循環させている音です。
音の原因の2つ目はコイル(電磁石)の振動の音
撮影の時に大きな音がする原因は「磁石の振動」
MRIの検査がはじまると、すぐにすさまじい音がします。
かなり大きい音です。検査前の説明では「工事現場のような音がします」といわれることが多いですが、実際には工事現場どころの音ではありません。
MRIの撮影中には、常にラジオ波と呼ばれる電波が体に当てられます。そのため、検査中はあたたかくなります。
それと同時にMRI装置内での磁界向き(N極とS極)が高速で入れ替わります。
磁界を変化させるためにも電磁石が使われます。MRI装置には磁界を変化させる電磁石が3つ(3方向)あります。(傾斜磁場コイルと呼ばれます)
その電磁石それぞれに流す電流を調整することで、磁界の向きや磁力の強さを変化させています。
このときに、電磁石の銅線の部分(コイル)が振動して音がします。
なぜ音がしてしまうかというと・・・
昔習った、フレミング左手の法則を思い出してください。磁場の中では導体(銅線)に流れる電流に対して力が働きます。
この力は銅線を振動させます。
磁界の向きを逆にするために電流の流れる方向を逆にすると、力がかかる方向も逆になります。
そのため、磁界を切り替えるたびに力のかかる方向が高速で入れ替り、細かく振動して騒音をだします。
これがMRIのうるさい音の正体です。
いろいろな音がするのはなぜ?
MRIでは一連の検査で、いろいろな種類の撮影をします。電波の当て方や磁力の変化のさせ方は、撮影する内容によって違います。
短い間隔で激しい音がする撮影、長い間隔で音がする撮影などさまざまです。
音質も「ガーガーッツ」と低音のものもあれば、「キンキン」といった高音のものもあります。
この騒音は、MRIの原理上避けて通れないものです。
実際のMRIの音はこちらから
まとめ
MRIの撮影中に音がする理由を紹介しました。
大きな騒音の中での検査は大変ですが、MRIは非常に役に立つ検査です。
病気があるかないかだけでなく、どんな種類の病気かを詳しく調べることができます。
しかも放射線を使わないので安心です。
検査の時には耳栓やヘッドホンが用意されています。心配な時は担当者(技師さん)に相談してみましょう