スピンエコー法の名前の由来、シーケンスの構成、撮像時間について解説します。
Spin Echo法 (スピンエコー法): 用語の意味
Spin(スピン)はプロトンの回転を、Echoは反射(反転)などを表しています。
MRI撮像技術の中で最も基本的で、最も重要な撮像方法です。
この原理をしっかり学ぶと、他の撮像法も理解しやすくなります。
スピンエコー法はどんなシーケンス?
スピンエコー法は、90°パルスと180°パルスを組み合わせたシーケンスです。
エコーという名前の通り、分散したスピン(位相)を反転して呼びもどし、信号を取得します。
PSDで見るとこうなります。(PSDについて)
説明しやすいように、RFパルスとエコーだけ抜き出します。
90°パルスからスピンエコーが出るまでを、TE (Echo Time:エコー時間)と言います。単位はmsecです。
90°パルスから次の90°パルスまでを、TR(Repetition Time:繰り返し時間)といいます。単位はmsecです。
Spin Echo法では、1回のTRで位相エンコードを1本埋めます。
位相方向の分解能(位相マトリックス数)が、位相エンコード数になりますので、
撮像時間は TR(msec)×位相エンコード数になります。
スピンエコー法と撮像時間
位相エンコード数=位相方向のマトリックス数です。
位相方向のマトリックス数が256、周波数方向のマトリックス数が384の場合 TR:450msecだとすると、256*450msec=11,5200 msec=115 secの撮像時間になります。
なので、スピンエコー法は時間がかかります。
Spin Echo法のパルス系列の特徴
スピンエコー法では、
①90°パルスで横磁化を揃えながら、縦磁化を倒す:(励起パルス)
②バラけた横磁化を180°パルスで再収束:(再収束パルス)
③信号を取得:(スピンエコー)
を繰り返していきます。
特徴としてはスピンの再収束に180°パルスを使用している点です。
励起パルスは、必ずしも90°である必要はありませんが、90°と180°の組み合わせで最も信号が高くなります。
実機では励起パルスはきっちり90°ではなく、少し浅く設定することがあります(GE:T1 Mempなど)。浅めにするとSNRは少し下がりますが、撮像可能枚数の増加やコントラストの改善、SARの低減に寄与します。
スピンエコーとハーンエコー
励起パルス(90°またはそれ以外)と180°の再収束パルスの組み合わせで取得されたエコーをスピンエコーと呼びます。
それに対し、180°パルス以外で再収束したものは、ハーンエコーと呼ばれます。
Hahn Echo(ハーンエコー)
180°パルス以外で再収束したものは、ハーンエコーと呼ばれます。
たとえば
90°パルスー175°パルスの組み合わせ
80°パルスー120°パルスの組み合わせ
などは、ハーンエコーになります。
再収束パルス以外はSpin Echoと同じですが、 原理的にスピンエコーよりも信号が低くなります。