スピンエコー法の撮像時間は、「位相方向のマトリックス数」で決まる
k空間のデータ配列には位相エンコード方向と周波数エンコード方向があります。
これをすべて埋めないと画像は作れません。
マトリックス数が9×9と仮定すると、位相エンコード方向に9列、周波数エンコード方向に9列に分けられます。
スピンエコー法では、位相エンコードのデータ1列は、1回のTRで埋められます(赤矢印)。
傾斜磁場をかけながら、位相方向のマトリックス分繰り返します。
つまり、すべて埋めるには9回繰り返す必要があります。
1列で1TRの時間が必要なので、
TRが500msecであれば、500 msec×9=4500 msecが撮像時間になります。
実際の例でいうと、TRが500msecでマトリックス数が256×256のMR画像であれば、256×500=128,000msecとなり、約2分10秒の撮像時間になります。
位相エンコード数、周波数エンコード数と撮像時間
周波数エンコードの時間は計算に入っていないけど??
周波数エンコード方向は、1TR内のリードアウト時に周波数エンコード傾斜磁場をかけて行われます。
そのため、撮像時間には影響しません。
周波数エンコードは撮像時間に影響しないため、通常は位相方向よりも周波数方向のマトリックス数を多く設定します。ex) 512×256(周波数×位相)
この例だと、撮像時間は
TR 500 msecで512×256(周波数×位相)の場合は、500 msec×256=128000 msec(2.13 min)となります。
つまり、512×256(周波数×位相)でも、256×256(周波数×位相)でも撮像時間は同じ128,000msec(約2分10秒)となります。
撮像時間と加算回数
実際のMRI検査では、SNRが足りない場合は、加算回数を増やすことがあります。
上記の条件で、加算回数を1回→2回に増やしたとすると、撮像時間は2倍になります。
ex) 画像のマトリックス数512×256(周波数×位相)でTRが500msec、加算会数が2回の場合
となります。